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2013年09月10日

秋刀魚の季節 -生VS解凍-

    秋刀魚の季節 -生VS解凍-

 
 まだ西の空に茜色が残る。休日だし、いつもより早い夕食だ。
 ガレージの中で折りたたみのテーブルを開き、脇で埃を被っていた七輪をテーブルの
傍にセットした。イスは、今夜は娘がバイトだから、3脚でいい。
 シューズボックスの上にある買い物袋からラップに包まれた食材を取り出し、テーブル
の上に置いた。七輪の埃をフ~と吹き飛ばし、買ってきた炭を重ねるように入れ、その
下に潜り込ませた固形の着火材にライターの火を当てると、パッと着火した。
 
 いや~、待ちに待ったサンマの季節だ。そしてボクが炊事担当になる季節だ。 
 ケータイの広告入り団扇ををパタパタ仰ぎながら、改めてテーブルの上の食材をみる。
サンマの2パック以外何もない、が、うん豪華だ。だがこの2パック、実は値段表示が
違うのだ。一つは2尾入りで380円、もう一つは同じく2尾入り、割引価格で105円。
 それにしても今年のサンマは高い! 不漁とのことでここにも地球温暖化の影響か!
 やっとこの値段まで待ったが、それでもスーパーの鮮魚コーナーで思わず隣に並んで
いる解凍モノとセットで買ったという訳だ。どうせなら食べ比べてみようと、言い訳みたい
な理由までセットにして。

 
 滴り落ちる脂でジュッと白い煙がサンマの身を包む。コレだコレだ! 焼け具合頃あい
のモノを皿に移し大根おろし入りのポン酢をかけた。冷蔵庫から冷えたキリン淡麗―あ~、
瓶のバドワイザーにすればよかった―を取りながら、
 「おーい、まだかー!もうイイぞー!」
 いつもはパソコンに夢中で尻の重い息子が今日は早かった。犬のような嗅覚でもある
のかな。家人は電話に夢中のようで呼んでもこない・・”オンナノデンワトアキノヨル”
しょうもない句が浮かんだ頃、2尾目が焼きあがり息子の皿に取って移した。
 美味しそうに食べながら、息子が笑みを浮かべ云った。
 「うん、やっぱり生は違うね!」
 残りの2尾―そう解凍モノ―が焼けあがる頃、やっと長電話を終えた家人が家から
出てきた。どうせならもう少し電話しとけばいいのに。そうだ、生ってことにしても分から
ないかな・・などと考えていると、
 「あっ、どっちでもいいよ!」ドキッとした。なぜ相変わらずこうも鋭いんだ。


 ―我が家の結論。
 確かに生は美味い!でも炭火なら解凍モノでも悪くないネ!
 早い話・・・旬の味覚も価格次第ってトコ、ハハ! まっ、ビールも旨いし、これからは
スーパーに行くのが楽しみになるね、うん! 



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