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2017年08月22日

月の女

    月の女



 ・・三年の月日が経った頃、かぐや姫は月を見て
物思いに耽るようになり、八月の満月が近づくにつれ
激しく泣くようになった。
 翁が問うと「自分はこの国の人ではなく月の都の
人であり、十五日に帰らねばならぬ」という。
 そして十五夜、空から降りて来た天人に連れられて
姫は月へ帰っていった・・



 夜空に浮かぶ月。

 いつの世も男は(「竹取物語」での5名の貴公子や
帝のように)、かぐや姫のような美しいだけじゃなく、
どこか謎めいたオンナに憧れ、惹かれる。
 男の無意識の求愛指標であるオンナの謎の部分は、
月の満ち欠けに似ている。

 出逢いは新月・・恋の始り。三日月・・膨らむ想い。
 半月・・友達以上、恋人未満。そして恋の成就が
満月だ。

 満月でオンナの謎がなくなる・・だがそれは男の
天動説だ。満月になったところから、男とオンナの
哀劇が始まる。


 ところで、男とオンナの生物学的役割は受精の
シーンに象徴される。
 一個の卵子に向かう無数の精子たちから選ばれる
のはたった一つだ。オスは必死に自己をアピールし、
勝ち残ろうとする。
 だが求愛するオスのほとんどがフラれる運命にある。
男が能動的でオンナが受動的なのは、自然の摂理だ。
だからフラれる男が多い世の中は健全だ。



 最近、フラれることを嫌がってか、受動的な男が
増えた。今風にいえば、草食系男子となろうか。
必然として、肉食系女子が増えるハメになる。
 これでは不自然だ。卵子が自ら精子にぶつかって
いくようなものだ。


 イイオンナは動かない、そして沢山の男をフル・・
かぐや姫のように。



 卵子は月。
(月経は周期が月の公転周期(27.3日)や満ち欠け
周期(29.5日)に近いことから、俗に「お月様」
とも呼ばれる)
 ・・ならば精子は月に向かって泳いでいく宇宙
飛行士か。





 男とオンナは距離感が難しい。


 満月は続かない。すぐに欠け始める。
 男は概してオンナを一方向からの面で見る。満月で
全部を知ったつもりになった男は、欠けていく月に
魅力を感じなくなる。
 ここにきて周りで密やかに光る星に目移りしてしまう。



 では地動説は何か?
 それは月が球体ということだ。

 月には裏側があり、満月になろうとそこは見えない。
(月は地球の潮汐力〈重力〉のせいで常に同じ面を
地球に向けている)
 男にとってオンナは永遠に謎があるのだ。
 相手を思いやり、理解することが謎を推測する唯一の
手段だ。その心が永い間に言葉や行動となって現れる。

 月は地球の周りを引力と遠心力で回っている。この
バランスを保っているから、いい関係が永く続く。
 心地いい、男とオンナの距離・・38万Km、えっ!
 



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