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2014年06月04日

志賀高原、雪灯り・・・

    志賀高原、雪灯り・・・


 何か、ここ最近全国的に、異常な気象だ!北海道で36.8度びっくり!
 ことわが沖縄に関して言えば、南の島らしい時々晴れ間のある”陽気”な
梅雨の最中。気温も28度前後と、まあ、例年と変わり映えしない日々だが。
 いや~、北と南がひっくり返った感じ! 
 
 ということで、学生の頃の思い出で、ちょっと涼しいエッセイをば。

 

               ◇


 
 夜行バスは休憩の松本サービスエリアを出て、志賀高原を目指し又
走り出した。運転手は座席下仮眠場所のもう一人と交代している。
名古屋を出発して何時間経っただろう。雪はまだ降ってないし、
道路脇にも積もっていない。
 今年は例年に比べ降雪量が少なく、正月スキーのツアーも集客が
イマイチで、一部催行できなかったけど何とか今回は実施できた。
それどころか今回は五台とも満席だ。


 今年の夏で近畿日本ツーリストのバイトも三年目になるか。都ホテル
での夏休みだけのオプショナルツアーカウンターも様になってきた。
 「コマカ島、いいですよ!」ほんとは自分も行ったことないのに・・。
 まあ地元学生の僕にとって、都会からの綺麗なお姉さまたちに青い海
青い空の感動を与えるこのバイトは結構気に入っている。

 ―そして、冬
 バス一台に添乗員一人はかならず乗らなくてはならない、猫の手も借り
たいほどの忙しさが相まった正月スキーツアーの添乗員は夏のバイトの
最高のご褒美となった。なぜなら沖縄から名古屋までの航空券はタダ、
添乗員の仕事は社員がほとんどやってくれるんだもん。




 あと数時間もすれば初めて雪を見ることが出来る。バスのヘッドライト
に映し出される景色に僕の胸は高鳴った。でもあまり目立たないようにし
よう。正月スキーと言えば、割高の料金を払えるだけに格好がいかにも
金持ち、スキー用具もほとんど自前・・添乗員がひとりだけ雪を見た
ことがない、ハハ。


 心地よく揺られ、緊張と程よい疲れにいつの間にか眠ってしまった。
 目を覚ますと夜は明けていて、ちょうどバスは最後の休憩地である
山間の公園に到着したところだった。
 ん?最前列から見える景色に僕は思わず飛び上がった。そしてドアが
開いた瞬間、ステップを踏み外しそうになりながらも外へ飛び出した。

 「ワー!」
 駐車場の脇を覆いつくしている積もったばかりの真っ白な雪にへっぴり
腰で片足を突っ込んだ。”ズボッ!”膝までスッポリ取られるがすぐに
後ろ向きになり背中から倒れこんだ。そのまま両手を広げ大の字を描く。
 我に返り、見上げるとバスの乗客が一斉にこっちを見て笑っている。
僕は白熊のように笑い返した・・・


 二階の窓を開けた。顔を冷気が刺す。それもなぜか心地いい。
 昼間の賑わいから想像がつかないほどゲレンデはシーンと静まり
返っている。照明が落ち、辺りはほのかに青白い。雪灯り・・身体の
芯が震えた。するとその時、窓の下から何かフワフワと舞い上がって
きた。
 ”えっ!”雪?
 そうだこれは雪だ・・え~、雪って下から降るの?


 
 青い空に青い海、白い雪に雪灯り・・南の島と雪国のコントラスト。
 自然を大切にする人間への大自然からの感動プレゼント!



     

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