アリとキリギリス、うちな~編

YUU

2014年08月31日 20:27

    





 ウチナ~ンチュは総じて人見知りをする。打ち解けるまで時間がかかる。ただ何か
の拍子にそれまでとうって変わって急に親しくなる。性格も180度変わるから周りは
戸惑う。ヤマトンチュの「最初はとっつき難い人と思っていたけど、面白い人だねえ」、
よく訊く言葉だ。
 
 沖縄にある本土系会社の場合、どちらかと言えばウチナ~ンチュは目立たない。
 一般的に言われることだが、ウチナ~ンチュは出世欲がなく会社でモーレツに
働くこともない。理由のひとつにまずあげられるのは仕事以外の付き合いが多い。
 これは友達や親戚門中を大切にする社会背景から、いろんな形の模合、地域
のエイサー練習、友人の結婚披露宴の練習などなど。ウチナ~ンチュはなるべく
目立たない存在でアフター5に影響のないようにする。(まあ地元の会社であれば
早退理由になんら抵抗がないが・・) もし会社で”課長に昇進”の話がきたら
謹んで辞退するか、むりなら辞職する、という話もありうる(笑)

 もう一つ出世欲のない理由に、気候風土からくる”テーゲー主義”と”ナンクル精神”
がある。この言葉のもつニュアンスはヤマトンチュが一番理解に苦しむところだろう。
 沖縄に転勤してきて1、2年は概してこの2点プラス”ウチナ~タイム”に違和感を
覚える。これらを沖縄の発展しない経済の諸悪の根源とみる。それはそれとして
否定できない面もあるのだが、ウチナ~ンチュからこれらを取ったら砂糖とクリープを
入れないネスカフェのようで物足りない味になってしまう。ウチナ~ンチュたらしめる
アイデンティティ、重要な気質だ。だから、もし商売をする上で大切な相手となれば
このあたりを理解なくしては商売が難しいどころか、人間関係でストレスを溜めかね
ない。

 一年中温暖な気候は雪国などのように、”今働いておかないと・・”という、切羽
詰った精神構造になりにくい。これは特に男性に多くみられる傾向である(相対的に
見るから沖縄の女性は働き者と言われる)。”明日やれることも今日やろう”ではなく、
”今日やれることだが明日やろう”てなことになる。今も残る嫡子(長男)制度、相互
扶助の社会も一因で、いざという時周りが助けてくれるから、”まっ、なんとかなる
さ!”と。(最近は”何とかならない”のも増えているけどね)
 客観的にみると、県民所得はぶっちぎり全国最下位、失業率、離婚率・未婚の
母率(てのがあるか分からないがこれは、多分)間違いなくトップ。普通悲壮感が
漂うはずなのにそれはない。次の仕事も決めず退職なんてのはよく聞く話(中には
奥さんにまで黙ったまま)。そんな状態でも陽気さ(能天気と言ったほうがいいいか)
を失わないのは立派!

 この不可思議なアンバランスさも又沖縄の魅力になっているかもしれない。最近
定年前に沖縄に旅行で来て、気候や自然もさるこながら、こういった人間的な要素
に触れ、早期退職移住してくるヤマトンチュが増えている。
 高度成長期から脇目もふらず働き尽くめで、それこそ”勤続疲労”なる状態の人
にはどこか失いかけた人間本来の姿を取り戻してくれる、うってつけのところかも
しれない。



 



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